天應山 観音教寺 福聚院(芝山仁王尊)

芝山不動尊

本尊 十一面観世音菩薩
宗派 天台宗山門派
札所 新上総国三十三観音第三十三番
    東国花の百ヶ寺第六十七番
併設 芝山ミューゼアム
(芝山はにわ博物館・釈尊館・観自在ギャラリー)
公式サイト http://www.evam.ne.jp/niouson/
289-1619 山武郡芝山町芝山298



通称がご本尊ではなく山門の仁王尊というのは珍しく、
前々から気になっていたこちらのお寺にお参りしてみました。
ある時代物の小説に「火事盗賊除け芝山仁王のお札」って
出てました。それにはまたもや日本昔話です。今日は落語調で・・・。


熊さん知ってるかい、なんでもなぁ、
大川の端の与六てーのうちによぅ、盗人が入ったんだとよ。
でもな、与六てーのはな、上総の国は芝山の仁王さんのお札を祀ってて、
泥棒めは、お札の仁王さんに睨まれてな、腰を抜かしちまって、
難を逃れたっつー話だぜ。
えー??。
八っつぁん、そいつはありがてぇや。
あっしらもお参りしよーじゃないか??
えー??




この話が広まって、
「江戸の商家で火事泥棒除けに芝山仁王の札を祀らぬ店はなし」
といわれたとか。



とてものどかな田園の中に浮かぶ寺院です。
主役級の仁王尊が鎮座する山門は流石に立派。
阿吽、左右それぞれ畳が敷かれていて、中でお参りができます。
上の本堂のほうから、寺には不似合いなジプシーキングスのような、
音楽が聞こえてきました。
なんと、本堂左手の三重塔前で、生バンドがコンサートをしてました。
定期的に色々なイベントが行われているとか。
今日のバンドはジプシーグループさんhttp://www.gipsygroove.com/


本堂につながって建つ、芝山ミューゼアム。
はにわだけだと思ってたら、仏像もなかなか。
天応元年(781)建立の古刹。寺宝はすごいです。
江戸時代、関東八州、出羽、陸奥計十州の
円仁を流祖と天台宗山門派*1寺院統括で十万石の寺格というのはダテじゃないです。
「え?じゃぁ上野の寛永寺は??」との質問。いい質問です。
寛永寺は京の鬼門に比叡山のマネをして
江戸城の鬼門に「東叡山」として天海が創ったのでまた違う流れなのです。
真言宗霊雲寺と似ています。


続いて、お釈迦様の生涯を岩崎巴人画伯の仏画でたどる「釈尊館」。
歴史や宗教に全く興味のないカミさんが
珍しく真剣に鑑賞してました。
「こんなにガリガリになっちゃったら悪魔に誘われても無理でしょ??」
ほぇ?!・・・はい、おっしゃる通りです・・・。



特に印象に残ったのは本当の本尊、平安前期作の秘仏本尊*2の写真です。
木材を粗く彫っただけの、
十一面観世音菩薩と呼ぶにはあまりにも
素朴なものなので、逆に、
高僧が自刻したものであろうという想像がされます。
誰もみたことのない完全秘仏浅草寺聖観音像も
おそらくこのような像なのではないでしょうか。


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*1:円仁を流祖とする比叡山を本山とする派。更に一三流に分かれる。→寺門派は円珍を祖とし園城寺を総本山とする。

*2:公式サイトの写真は鎌倉時代前期作の御前立本尊です。