かみさんが台所のシンクの前に前かがみに立っている。
対面式カウンターキッチンに回りこみ、
妻をみると彼女はバトミントンのラケットのガットを、
懸命に左の頬に押さえつけている。
「なにしてるの。」
「うん、ちょっとタコをつくろうとおもって。」
(え?、タコって凧か?それともマメのようなもの??。魚の目か???。)
妻の頬は赤く鬱血し、赤黒くなってきた。
ガットの合間に浮き出ている頬の肌だけは白く、
確かに海の蛸の吸盤のよう・・・。
「えっ!?。」
赤黒い頬と白い吸盤はモリモリと膨れ上がり、
ムニュムニュとうねりながら、
めるっとガットを透して抜け出てきたものは
まぎれもなく赤くみずみずしい巨大な蛸・・・。
ビタンッと、水っぽい大きな音を立ててシンクに蛸が落ちる。
グロテスクな大きな赤黒い蛸。
蛸は逃げ場を求めてその足をそれぞれをあちらこちらに探り出している。
平然とシンクにまな板で蓋をして私をみて微笑むかみさん。
「ね、簡単でしょ。お父さんもやってみる??。」
私も恐る恐る同じようにやってみる・・・。
ラケットを頬骨に密着させ、半信半疑で待ってみる。
しばらくすると頬の内側にピチッビチッピチッと小さな振動。
ガットの隙間から、小さな小さなイイダコが、
プリッリと這い出てきた・・・。
小さなイイダコはおびえて右往左往・・・。
「大丈夫、落ち着いて。」
蛸に話しかける私。
私はこの自分の子供とも言えるこのタコを
今後どうやって育てていこうと真剣に考えている。
・・・っていう夢をみました。
いったいどうゆう深層心理がこんな夢をみせるのでしょうか。