「セント・メリーのリボン」〜花見川〜

セント・メリーのリボン (光文社文庫)

セント・メリーのリボン (光文社文庫)

ハードボイルドの名作を数々生み出しながら、
一般にあまり知られることなく、
12年前に世を去った作家、稲見一良さん。
その珠玉の短編集がこれで、今年復刊されました。




どの短編も「うるるっ」もんなんですが、
その中でも千葉県北西部に縁のある人には、
びっくりしちゃうのが、「花見川の要塞」です。




今でこそ、「千葉県千葉市花見川区」という地名から、
知っている人も多いでしょうが、
昔は、ドブのような泡の沸いた汚い川と、
マンモス団地の名でしか知られていない地名でした。



私と兄弟同様に育った従弟が、
その花見川団地に住んでいたので、
自分の庭のように遊んだ川でした。
泡が沸き、背骨の曲がった鮒の泳ぐ、
汚い川のすぐ隣ながら、
花島観音といわれる天福寺さんの庭先には、
のんびりとした牛がつながれていました。
春には名前の通り、桜が満開です。
100%の美しい自然の風景じゃありませんが、
私にとっては懐かしい故郷の風景に似たもの・・・。




江戸時代、印旛沼干拓するために、
江戸湾(東京湾)への掘割を作ろうとし、
何度も何度も挑戦されたものの、失敗し続け、
田沼意次を罷免させた原因の一つともいえるのが、
この花見川なんです。
なんとこの人口の川が完成し、
印旛沼東京湾がつながったのは、
私が生れた昭和四十四年(1969)のこと。





この短編はその花見川が舞台。
戦争中の鉄道連隊に関わる人々と機関車が、
時代を超越して(おそらく私が子供の頃の)現代に生きる、
主人公のカメラマンと交わるんです。





鉄道連隊といえば、これ習志野市民にお馴染みのもの。
津田沼駅前の千葉工業大学の通用門は、
旧鉄道第二連隊のものであって、
京成津田沼から、京成大久保のすぐ横を抜け、
花見川方面へと向かうハミングロード(通称;マラソン道路)には、
戦前、鉄道連隊の練習用の軍用鉄道が走っていたそうです。
私が子供の頃には、線路の一部だのが残っていましたっけ。




いやー・・・。懐かしいなぁ。
近日、現代の「花見川」に行ってみましょう。




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