九十九里に宿泊して、
テレビで箱根駅伝を観てから帰ってきました。
そんなに大学に対する愛校精神の強いほうではないのですが、
母校が出場していないとどうにも応援に熱が入りません。
かみさんのほうは、高校サッカーで、
母校・八千代高校が大活躍しているので興奮しております。
さて愛校精神に似たライバル心(?)で、
西郷寅太郎と習志野俘虜収容所を愛する私としては、
松江豊寿とその板東俘虜収容所に関しては、
あまり詳しくはありません。
- 作者: 星亮一
- 出版社/メーカー: ベストセラーズ
- 発売日: 2006/05
- メディア: 新書
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そうか、松江豊寿さんって、
戊辰戦争では「朝敵」「賊軍」とされ、
維新後も辛酸をなめた会津の出身なんですよねぇ。
西郷寅太郎さんも父は西郷隆盛です。
西南戦争では「朝敵」「賊軍」とされ、
彼の青年期にはかなりの苦労があったはず。
その二人の寛大な敗者への「武士の情け」が、
現在も続く、日本とドイツの交流を生み出したなんて、
もっともっと誇るべき話だと思うんですよ。
この本を読んで驚いたのは、
板東のドイツ兵俘虜が編集していた、
「ディ・バラッケ」という俘虜収容所新聞の、
自由な論調とその内容です。
ある日の論説はなんと「武士道」。
日本人ですら、忘れているか、
よくわかっていない「武士道」を、
実に短く的確に捉えているんです。
収容所の戦友のなかには「武士道」という言葉を知らない者が多いことであろう。それゆえちょっと簡単に説明しよう。関心をもっている人もいることだろうから。
「武士道」とは日本語の「武士」プラス「道」、すなわち戦士のあゆむべき道であり、いい換えると古い封建社会のなかで日本の騎士、サムライの古い作法であり、サムライが守るべきあらゆる道徳的な原理がそこに含まれている。
自己の行いに責任を持ち、自制心を鍛錬し、恥を知ることである。
決断に関しては熟考し、臆病でないこと。
主人と祖国のために、命をすすんで投げ出すこと、弱者と貧者に好意を持ち、親切であること、さらに倹約を実行し、華美を戒めること、あらゆる不正に対する羞恥心と正義を行うという名誉心のなかに、おそらく武士道の最高の神聖性がある。
すごいでしょ!!。
ドイツ人がただ新渡戸稲造の「武士道」を読んだって、
訳された「葉隠」を読んだって、
絶対にここまでちゃんと「武士道」を理解できないと思うんです。
おそらくこの論説の著者は、
武士道を知る武士と、人間と人間の対話をして、
分かり得た「武士道」のはず。
ひょっとするとその武士は松江その人であったのかもしれません。
またこの板東俘虜収容所がいかに自由であったかは、
やはりこの「ディ・バラッケ」にみることができます。
この板東俘虜収容所は、
四国八十八ヶ所の一番札所、霊山寺に近いこともあり、
多くのお遍路さんとの交流があったのか、
「四国霊場巡礼」を解説する論説もあるのですが、
この文章も実によくを捉えていて、
お遍路さんの内面にまで触れ、理解し、
「付いていきたい気持ちになる。」という心情をももらすほど。
・・・びっくりです。
松江豊寿さんに関し、
もうちょっと調べてみたくなりました。