「密謀」(上・下)

密謀(上) (新潮文庫)

密謀(上) (新潮文庫)

密謀(下) (新潮文庫)

密謀(下) (新潮文庫)




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どうも文句ばかりブーたれてしまうんで、
滅多にNHKの「大河ドラマ」ってやつは観ないのですが、
小耳にはさんだ話によると来年は「天璋院篤姫」で、
再来年は「直江兼続」なんですってねぇ〜。




失礼ながら、
だんだん「地味」な選択になりつつありませんか。
もうネタ切れなんじゃないでしょうかねぇ。




さて今年、没後十年を迎える藤沢周平さんは、
この「密謀」で「直江兼続」を描いていますが、
かつて彼はこんなことを言っています。



どういう訳か、
キラキラ光っているものはきらいなんです。
偉い人を偉いと書くのが面白くない。


大河ドラマ天地人」の原作は火坂雅志さんのようですが、
藤沢周平さんが「キラキラ光って」いないとした、
直江がどう描かれるかについては多少興味があります。




誤解があるといけませんが、
別に、この小説で、藤沢は直江を、
悪く描いている訳ではありません。




「愛」の兜をかぶり、
ど派手な活躍をしたように描かれがちな直江ですが、
実際はもっと「裏方」で、
こつこつ地味な活躍をした武将だったのではないかと、
表現しているのがこの小説だと思います。




ただ、徳川家康に逆らったという事実が、
後の政府からすると「天晴れ」な訳で、
大正十三年(1924)に従四位を追贈されることとなり、
昔と今の評価はかなり違ってしまったのでしょうね。




実際、米沢藩では上杉鷹山が藩主になるまで、兼続は、
東照宮に刃向かって藩の存続を危うくした奸臣。」と、
評価されていたとも聞きます。




ともかく、この本には、
藤沢周平さんがあまり描きたくなかったという、
「キラキラ光る」戦国武将たちが多く登場します。
そんな「光る」歴史の主役級への評価も、
チラホラ見えるこの作品は、
藤沢作品の中でとても貴重で、
とても面白いです。




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