「歓喜する円空」

円空作十一面観音





木、そのもの素材を活かし、
鉈で粗削りに彫って造られた円空仏
その数は十二万余ともいわれ、
異形の神仏像と称されています。





元々、その円空作の仏像の、
その良さが、まったく分らなかった私です。
正直いえば、
昔はただの手抜きの木彫仏としか見ていませんでした。





→ 「仏像〜一木にこめられた祈り〜」東京国立博物館その四





しかし、この東博の特別展で、
その偏見はもろくも崩れました。
円空仏の本当の良さ、その迫力は、
けして写真で分るはずも無く、
拝する位置のわずかな違いで変わるその尊顔に、
私はまるで雷に打たれたかのように立ち竦みました。




円空仏の凄さは、まさに理屈ではなく、
まるで若い頃に心にダイレクトに響いた、
パンクロックのようですらあり、
そしてまたピカソゲルニカのように、
押し潰すようでいて、
またそれでいて何よりも優しく響くのです。
そう、まるでリンダリンダ



これは私が仏教を理論で理解しようとしていた時には、
けっして分らず、
ここで過去に何度も書いたように、
「ありがたいものをただ拝む。」
と、いうスタンスになったからと、
ちょうど同時の変化なのかもしれません。





歓喜する円空 (新潮文庫)

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そんな訳で、ずっと待っていた、
梅原猛氏のこちらがやっと文庫化されたので早速買いました。




しかし残念ながら、学者の論争や、生い立ちの諸説など、
正直いってあまり興味のある内容は多くありませんでした。





円空仏は、ただそこにあるだけでいいんです。





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