木、そのもの素材を活かし、
鉈で粗削りに彫って造られた円空仏。
その数は十二万余ともいわれ、
異形の神仏像と称されています。
元々、その円空作の仏像の、
その良さが、まったく分らなかった私です。
正直いえば、
昔はただの手抜きの木彫仏としか見ていませんでした。
しかし、この東博の特別展で、
その偏見はもろくも崩れました。
円空仏の本当の良さ、その迫力は、
けして写真で分るはずも無く、
拝する位置のわずかな違いで変わるその尊顔に、
私はまるで雷に打たれたかのように立ち竦みました。
円空仏の凄さは、まさに理屈ではなく、
まるで若い頃に心にダイレクトに響いた、
パンクロックのようですらあり、
そしてまたピカソのゲルニカのように、
押し潰すようでいて、
またそれでいて何よりも優しく響くのです。
そう、まるでリンダリンダ。
これは私が仏教を理論で理解しようとしていた時には、
けっして分らず、
ここで過去に何度も書いたように、
「ありがたいものをただ拝む。」
と、いうスタンスになったからと、
ちょうど同時の変化なのかもしれません。
- 作者: 梅原猛
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/06/27
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 15回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
そんな訳で、ずっと待っていた、
梅原猛氏のこちらがやっと文庫化されたので早速買いました。
しかし残念ながら、学者の論争や、生い立ちの諸説など、
正直いってあまり興味のある内容は多くありませんでした。
円空仏は、ただそこにあるだけでいいんです。
← 二つのブログランキングに参加しています。
← どちらも応援クリックをお願い致します。