明王山 無動院 飯縄寺 〜波の伊八 その一〜

宗派 天台宗
本尊 飯縄大権現(不動明王)
299-4505 いすみ市岬町和泉2935



太東海浜植物群落から車で5分。
次のお目当てはお寺です。
正式には「はんじょうじ」と読みますが、
通称「いづな寺」と呼ばれています。天狗のお寺です。
天狗といえば山岳信仰。こんな海沿いの寺も珍しく、
多くの飯縄様は明治の神仏分離で神社となっています。



飯綱寺 仁王門



おおっ、茅葺の仁王門。
いきなりの最高の雰囲気に心が踊ります。



東叡山 御真末 碑


門前左手には、「東叡山 御真末」と記された碑が建ちます。
東叡山とは東の比叡山、つまり上野の寛永寺の末寺です。
よくも明治維新を寺として乗り越えたと感心してしまいます。


仁王・右(阿)仁王・左(吽)



ちょっと人間味のある朱色の阿吽の仁王尊。
いいです。好みです。



さてこちらはこの辺りでは珍しく、
拝観料300円と定められているようですが、
寺務所はもう午後四時を過ぎた為閉まっています。
本堂賽銭箱に納めましょう。



水屋



この水屋は寺伝では、寛政九年(1797)造営とされているそうですが、
江戸初期の様式が多々見えます。
寛永十四年(1637)建立の阿弥陀堂の廃材を利用したのではないか、
と、推察されています。
手水石は享保十二年(1727)の銘があります。



改修中の鐘楼



弘化三年(1846)建立の鐘楼は改修中。



鐘楼の彫刻


細部に至るまで彫刻が施されています。
これは江戸末期の特徴のようです。
この彫刻は「上総国東金町住人建方彫工」の、
「大木飛騨藤原綱行」、通称「大木茂八」によるものです。



飯綱寺 本堂


さて本堂。水屋と同じ、
寛政九年(1797)造営とされています。


烏天狗と大天狗の大絵馬額



どどーんと絵馬のような大きな額に、
烏天狗と大天狗。圧巻です。



本堂の彫刻
波の伊八の彫刻




この本堂の彫刻は初代武志伊八信由こと「波の伊八」(1751〜1824)によるもの。
島村丈衛門貞亮の弟子でで多くの欄間彫刻を遺しています。
「波を彫らせては天下一」と言われて「波の伊八」となりました。
葛飾北斎は、伊八の彫った波に影響されて、
あの名作「神奈川沖浪裏図」が完成したとされています。



本当はもっと早くに来て、
本堂に立ちいれたならば、
伊八の代表作の一つ、
「牛若丸と大天狗の図」が見たかった。残念です。



また本堂には、隠れキリシタンのものなのか、
マリア像とおもわれる子安観音も所蔵しているそうです。



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