「孤宿の人」(上・下)

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時代小説と現代小説ともに双方を、
魅力溢れる作品を書く作家は多くありません。
結局どちらかが、古臭くなったいたり、
斬新過ぎて時代考証がおかしかったりしています。
ただ、浅田次郎氏と宮部みゆき氏は、
どちらを書かせても、
まるで違う作家かと思うほど、
それぞれに別々の魅力が溢れています。




孤宿の人(上) (新潮文庫)

孤宿の人(上) (新潮文庫)

孤宿の人(下) (新潮文庫)

孤宿の人(下) (新潮文庫)




宮部氏の文庫化最新作は、
帯に氏の「時代小説最高峰」と謳われています。





幕末、四国の架空の藩、丸海藩に、
流罪お預かりとなった幕府用人、加賀守。
この生ける悪霊とも噂される罪人が、
多くの穢れを引き込み、
様々な凶事が相次ぐなか、
江戸から流れ着いた、
阿呆の子"ほう"が巻き込まれてゆく物語。



読み始めてすぐに、
この原案が、讃岐・丸亀藩に永預になった、
鳥居甲斐守耀蔵であることには気付きました。




しかし、この小説は深かった。




血肉を争う権力闘争と、とかげの尻尾きり。
古来日本の神仏の発生のメカニズム、
多くの差別の元となった"穢れ"と流行する病。
そして群集心理とデマについてまで考えさせられる作品でした。





ただ、最後は感涙にむせぶ、爽やかなラストは流石です。





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