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- 作者: 和田竜
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2016/07/28
- メディア: 文庫
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ようやく「村上海賊の娘」、
単行本全四巻を完読しました。
第一次木津川口の戦いを描いたこの作品。
信頼出来る史実であろう資料は少ないので、
大半の人物設定とその描写は、
作者の想像によるものと思われますが、
破天荒な主人公・村上景と、
剛強無双の巨漢・眞鍋七五三兵衛が、
互いに心惹かれながらも、
血で血を洗うような対決には、
圧倒されて鳥肌が立ちました。
そして悲しいはずの結末なのに、
とても爽やかなエンディングに仕立てます。
流石は和田竜さんの自信作。
さてこの作品において、
主要な拠点の一つであり、
ラストシーンの舞台ともなった木津砦が、
難波の事業所からすぐ近くだと知り、
午後の面接と面接の合間の空き時間に、
ママチャリを借りて探訪して参りました。
織田信長の本願寺攻め=石山合戦において、
石山本願寺が難波湾からの、
海上補給経路を確保する為に、
木津川河口に築いた木津砦。
現在その跡から数百mで木津川には出ますが、
大阪湾に出る河口は更に南西の彼方遠く。
東側にあった敵方の天王寺砦の方向に、
今ではアベノハルカスがそそり立ちます。
また現在ここの地名が「出城」というのは、
この木津砦が由来とみて間違いないでしょう。
この地図の「出城公園」が、
その木津砦の跡なんだとか。
織田軍と本願寺門徒が激突を重ねて、
多くの屍を積み上げた古戦場跡ですが、
現在では案内板一つない、
大阪市内によくある、
おっさんばかり集まっている児童公園。
しかし大阪や京都、奈良で、
この程度の旧跡に、
いちいち案内板を立てたら、
町中が案内板だらけに、
なってしまうんでしょうね。