「白樫の樹の下で」(文春文庫)

→ 「かけおちる」(文春文庫)
→ 「鬼はもとより」(徳間文庫)
→ 「つまをめとらば」(文春文庫)






白樫の樹の下で (文春文庫)

白樫の樹の下で (文春文庫)




青山文平プチマイブームの四冊目は、
「青山文平」名義のデビュー作。
第18回松本清張賞を受賞します。
「かけおちる」の巻末の、
ご本人の後書きによれば、
「経済的理由」により、
再び筆を取ったそうですが、
この作品の巻末の、
島内景二氏の解説によれば、
登場人物三人に、
・青木小平
・村上登
・仁志兵輔
と、名付けて、
純文学を志した、
「影山雄作」を葬ったとか。
剣の道を志す、
小普請の貧乏御家人三人の、
青春ストーリーなんですが、
やはり十八世紀後半の、
天下泰平の世の江戸の、
南割下水界隈が舞台。
あらすじを淡々と書けば、
ドロドロとした妬みや、
陰湿な裏切りが渦巻く、
とてもえげつない内容なんですが、
それを爽やかにまとめてしまうのが、
青山文平さんの真骨頂。
今まで読んだ四作では、
やはり最も粗削り感がありますが、
と、いうことは、
筆をすすめる度に、
洗練さが磨かれている訳で、
次に読もうと思っている、
この作品が楽しみです。




春山入り (新潮文庫)

春山入り (新潮文庫)