「妻を娶る」について




→  「つまをめとらば」(文春文庫)










僭越ながら本日一番初めに、
新郎新婦にお祝いを、
申し上げるにあたりまして、
上司ではなく結婚の先輩として、
「妻を娶る」ことについて、
少し自分なりに考えを、
まとめてまいりましたので、
聞いて頂けれは幸いです。




実際の披露宴冒頭




「妻を娶る」
結婚・婚礼を男子から見て、
古式ゆかしい言い方を用いばせば、
「妻を娶る」と申します。
本日新郎はめでたく「妻を娶った」訳ですが、
この「妻を娶らば」を漢字で見ますと、
大変に興味深いことがわかります。
「娶」
「娶」という漢字は「妻を娶る」以外に使われません。
夫を娶るとはいいませんね。
文字通り「女性」を「取る」ですから元々は古代、
野蛮にも隣村から女性を、
略奪してくるイメージなのかも知れません。
「妻」
一方「妻」という字は、漢字の上の部分が、
「自分のものとして取る」を意味するので、
「自分の戸籍に受け入れ一心同体となった女性」
と、いう意味なんだそうです。
少し「娶る」よりは文明の成熟さを感じますが、
要するに同じ意味です。
「婚」
そして妻を娶り結婚となる訳ですが、
この「婚」という字もなぜか、
「女性」のみの登場になります。
この字は「女性」に「昏」「たそがれ」ですから、
昔、女性がまるで暗闇の中にいるようなもので、
相手の顔も分からずに、
結ばれたという意味なのかもしれません。
ここまではほぼ女性に主体性のない漢字ばかりです。





実際の披露宴の写真






「嫁」
しかし「嫁」となると立場が一転します。
この漢字から一気に女性が強く見えますね。
なんせ「嫁」をわずかにか変えるだけで、
稼せぐになります。
「稼」
この二つの漢字は全く違うように見えますが、
「責任転嫁」という四文字熟語が、
「稼」ではなく「嫁」で字あるように、
実はその成り立ちに共通点があります。
「責任転嫁」
つまり「嫁」が「家」に財を成すのです。
ちなみにこの強い「嫁」に唯一対抗する勢力が、
「姑」
その家に古くから住んでいる女性「姑」になりまして、
この「嫁」と「姑」がウチでも昨日も....。
.......いや、すみません。
これに関しては本日はおめでたい席ですので、
この説明は割愛させていただきます。(笑)
「妻」
さて長々と漢字に関する封建的な話になってしまいましたが、
話を「妻」に戻しますが、
「妻」にキヘンを付けると「棲」むになり、
「棲」
ニスイを付けると「凄」くなります。
「凄」
男性は「妻」がいるから家は「棲」むのが快適で、
「妻」がいるから困難を乗り越えて「凄」くなれるんです。
どうか「妻」を大事にして、
「凄」く「棲」みやすい素晴らしい家庭を築き、
会社で「凄」い活躍を見せて下さい。
そして大いに「稼」いでください。
「稼」
最後に新郎にもう一言。
くれぐれも「妻」を怒らせて雷を落とされないように。
「稲妻」にも漢字の「妻」がありますから。
「稲妻」
昔から強いのは「妻」なんです。
なんせ「妻」は「神」(カミ)さんですから。
「神」
本日は誠におめでとうございました。










※実際の披露宴では、
「責任転嫁」は縁起が悪いのでカット。

「xx-largeフォント」の部分はスケッチブックを使用。
この製作もワタシの手書きデス。