「宇喜多の楽土」



→ 「宇喜多の捨て嫁」(文春文庫)
→ 「人魚ノ肉」(文春文庫)






宇喜多の楽土

宇喜多の楽土


青山文平マイブームの途中ですが、
ちょっと一休み。
デビュー作でいきなりの、
直木賞候補となり、
他の文学賞五冠を獲得した、
木下昌輝さんの、
「宇喜多の捨て嫁」。
その続編の宇喜多秀家を描いた、
「宇喜多の楽土」ですが、
ワタシは原則、置き場所がなく、
文庫化を待つ戒めがありますが、
たまたま書店で初版本を見つけ、
直木賞受賞を祈念して
購入してしまいました。




直木賞は残念でしたが、
戦国の梟雄、父・宇喜多直家とは、
打って変わって心優しい、
宇喜多秀家を描いた作品。
しかしそこは、
トリッキーな木下昌輝さんですから、
ただ淡々と史実を、
書き連ねたものではなく、
"仕掛け"はいくつも仕込まれていて、
リーダビリティは強いです。
関ヶ原も西軍の中核ながら、
確かに今まで秀家の視点から、
描かれた作品は少なくて、
とても新鮮でした。
結果的には八丈島流罪第一号となり、
死ぬまで島に留まった、
秀家が関ヶ原に参戦した武将で、
一番長くこの世に留まりました。
そして宇喜多家、浮田家は、
現在も血脈をつなげています。
「宇喜多の楽土」=「八丈島
とも、言えるでしょう。
ますます八丈島に行って、
秀家の史跡や墓に、
お参りしたくなりました。