「金魚姫」(角川文庫)



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金魚姫 (角川文庫)

金魚姫 (角川文庫)




久しぶりの荻原浩さんの、
最新文庫化作品は、
「金魚姫」とか...。
アンデルセンの「人魚姫」の、
パロディでしょうか?
特にどの文学賞にも、
ノミネートされていないようなので、
全くノーマークの作品です。




同棲していた最愛の恋人にふられ、
転職したブラック会社に絞られて、
鬱病を自覚している、
死も考えていた主人公・潤は、
夏祭りの金魚掬いでとった琉金に、
リュウと名をつけた。
睡眠導入剤とアルコールで、
朦朧としていたその夜、
潤の殺風景な部屋に突然、
赤い衣をまとった謎の美女が現れる。
金魚の化身らしい彼女は、
誰かを捜しているようだが、
肝心な記憶がなく途方に暮れていた。




正直、設定は荒唐無稽な、
マンガのようなファンタジーですが、
今回もまたやられました。
ラストは昨夜の帰りの電車で、
伴宙太並の目の幅涙の号泣でした。
少年少女や座敷わらしなど、
ぎこちない会話や意思疎通の、
可愛らしさを描かせたら、
天下一品の荻原浩さん。
リュウがCMやドラマの台詞、
行動をマネる表現の愛おしさ。
そして驚愕のラストのどんでん返し。
最後はほろ苦く爽やかな喪失感。
隙だらけに思えた設定ですが、
起承転結に全く隙のない作品でした。
数ある荻原浩作品の中でも、
好きな作品の上位になりました。
どうかお願いですから、
その辺の安っぽいアイドルなんかで、
映画化なんて絶対にしないでください。