「黒澤明 DVDコレクション」21『白痴』

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黒澤明 DVDコレクション」 
→ 1『用心棒』
→ 2『七人の侍』
→ 3『赤ひげ』
→ 4『椿三十郎』
→ 5『天国と地獄』
→ 6『羅生門』
→ 7『乱』
→ 8『隠し砦の三悪人』
→ 9『生きる』
→ 10『蜘蛛巣城』
→ 11『醉いどれ天使』
→ 12『野良犬』
→ 13『静かなる決闘』
→ 14『悪い奴ほどよく眠る』
→ 15『影武者』
→ 16『生きものの記録』
→ 17『どですかでん』
→ 18『どん底』
→ 19『わが青春に悔いなし』
→ 20『素晴らしき日曜日』

黒澤明監督作品と「スター・ウォーズ」シリーズ 
→ その一その二
→ 「黒澤明という時代」(文藝春秋)
→ DVD「羅生門」その一
→ DVD「生きる」・「赤ひげ」
→ DVD「姿三四郎」・「續姿三四郎」
→ DVD「一番美しく」
→ 「黒澤明」関連の記事









黒澤明、長年の念願だった、
ロシア文学の巨匠、
ドストエフスキー原作
「白痴」の舞台を
昭和二十年代の日本・札幌に、
置き換えた映画化です。
難解であることから、
キネマ旬報』で、
珍しくベストテンに、
入らなかった作品ですが、
黒澤明は撮影後に、
「あれくらい全身全霊をかけておる、
写真(映画)はないしその点では好きだ」
と、この作品に対する、
強い思いを明かしています。
原作を七度以上も読み込み、
撮影が思うように進まず、
精神的重圧のあまり、
近くにあったナイフで、
手首を切ろうとしたところを、
三船敏郎に止められたという、
エピソードも有名ですが、
真偽のほどは分かりません。
この作品も東宝争議により、
松竹で撮影された作品。
松竹は当初前後編に分けて、
二本で公開したいと伝え、
黒澤はその意向に添って脚本を書き、
撮影を進めたにもかかわらず、
公職追放の解けた松竹副社長の意向で、
興行に不利な前後編をやめて、
一本にまとめるよう指示されます。
黒澤はやむなく、
当初4時間32分あったものを、
3時間2分にカットしますが、
松竹は更に短縮を要求。
この時、黒澤が発した名言が、
「フィルムを縦に切れ!」とか。
結局3時間2分版は、
東劇で二日間だけ公開され、
その後は松竹が独自に再々編集して、
2時間46分まで短縮されてしまいます。
残念ながら現在見ることが出来るのは、
このバージョンだけになります。