「JR上野駅公園口」(河出文庫)



さて本日も三日目のランチ抜き。
てな訳でブログは貯金の読書ネタです。





アメリカには直木賞芥川賞のような、
大衆文学・純文学で分けたような文学賞はなく、
全米図書賞というものがあって、
これが最も権威のある文学賞なんだそうです。

・小説部門(FICTION)
・ノンフィクション部門(NONFICTION)
・詩部門(POETRY)
・文芸部門(ARTS AND LETTERS
・歴史・伝記部門(HISTORY AND BIOGRAPHY)
・科学・哲学・宗教部門(SCIENCE, PHILOSOPHY AND RELIGION)
・翻訳部門(TRANSLATION)
・児童文学部門(YOUNG PEOPLE'S LITERATURE)
・時事部門 -その他(CONTEMPORARY AFFAIRS etc.)

この全米図書賞にはいくつか部門があり、
モーガン・ジャイルズが英語に翻訳した、
柳美里著『JR上野駅公園口』が、
2020年の翻訳部門を受賞したことは、
日本でもニュースになり話題になりました。
過去には二年前に、
マーガレット満谷が英語に翻訳した、
多和田葉子著『献灯使』も同賞を受賞しています。
www.sankei.com




JR上野駅公園口 (河出文庫)

JR上野駅公園口 (河出文庫)



柳美里さんの作品は、
何作か読んではおりますが、
そもそもは特に興味はなかった作品です。
この度、この全米図書賞受賞の帯を付けた。
文庫の増刷が書店で目に留まり、
購入して読んでみました。


一九三三年、私は「天皇」と同じ日に生まれた―
東京オリンピックの前年、男は出稼ぎのために上野駅に降り立った。
そして男は彷徨い続ける、生者と死者が共存するこの国を。
高度経済成長期の中、その象徴ともいえる「上野」を舞台に、
福島県相馬郡(現・南相馬市)出身の一人の男の生涯を通じて描かれる
死者への祈り、そして日本の光と闇…。
「帰る場所を失くしてしまったすべての人たち」へ
柳美里が贈る傑作小説。


高度成長期の前回の東京オリンピック
その頃の東北農村の出稼ぎ労働者の貧しさ。
そしてまた二度目の東京オリンピックを前にしても、
依然変わらない貧富の差の産業構造。
日本の光と影。
様々な人生を紡ぐ上野公園のホームレスの人々。
これに天皇制や東日本大震災原発事故を交えて、
家族の生と死を振り返る一人のホームレス男性の人生。
横浜に生まれ育ち、南相馬に移住した、
在日韓国人である柳美里さんならでは描けた作品です。
はたしてこの世界観が英語に翻訳して、
アメリカ人に伝わるものなんだろうか。
上野駅公園口、上野恩寵公園の様子が、
手に取るように分かるワタシが読んでも、
本当の哀しみのようなものは、
あまり理解出来ていないような気もします。
makoto-jin-rei.hatenablog.jp
かつてブログで紹介した、
荻原浩氏の「砂の王国」は、
普通のサラリーマンが、
ホームレスとなる過程が、
実に自然に描かれていて、
衝撃的な作品でしたが、
この主人公とは全く違う過程でした。
しかしこの作品で絡めている天皇制は、
無理矢理入れ込む必要あったのだろうか?
ただ高度成長期やバブル経済を振り返り、
あの時代がヨカッタと懐かしむ人がいますが、
あれはある意味国家丸ごとブラック企業のような、
労働条件があってこその成立だったんデス。
この本の内容はおそらく著者の柳氏が、
上野のホームレスや福島県南相馬の人々から、
取材して集めた内容をまとめたものと思われます。
それが「文学」ではなく、
「羅列」だとの書評もあるようデスが、
ワタシはこれはこの方法が一番良かったと思います。
てか、ワタシの感想が一番「羅列」でした、スンマソン。




20210209体重・体脂肪率




アレ?、
体脂肪率増えたのは、
イチゴ大福のせいかも?!