「いのちなりけり」「花や散るらん」「影ぞ恋しき」【上・下】(文春文庫) その二

さて今日は大手町地区の担当現場で、
実働隊員のローテションに穴が開き、
致し方なくワタシ自ら、
午後は現場に立ちました。
てな訳でいつもの貯金の読書ネタです。




「いのちなりけり」「花や散るらん」「影ぞ恋しき」【上・下】(文春



→ 「いのちなりけり」「花や散るらん」(文春文庫) その一
→ 「影ぞ恋しき」【上・下】(文春文庫) その一



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→ 「散り椿」(角川文庫)
→ 「さわらびの譜」(角川文庫)
→ 「はだれ雪」【上・下】(角川文庫)
→ 「神剣 人斬り彦斎」(ハルキ文庫)
→ 「蒼天見ゆ」(角川文庫)
→ 「春雷」(祥伝社文庫)
→ 「陽炎の門」(講談社文庫)
→ 「潮鳴り」(祥伝社文庫)
→ 「おもかげ橋」(幻冬舎時代小説文庫)
→ 「霖雨」(PHP文芸文庫)
→ 「銀漢の賦」(文春文庫)
→ 「螢草」(双葉文庫)
→ 「春風伝」(新潮文庫)
→ 「秋月記」(角川文庫)
→ 「無双の花」(文春文庫)
→ 「川あかり」(双葉文庫)
→ 「柚子の花咲く」(朝日文庫)
→ 「蜩ノ記」(祥伝社文庫)
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→  「身代わり忠臣蔵」(幻冬舎時代小説文庫)
→ 「決算!忠臣蔵」(新潮文庫)
→ 「七つの忠臣蔵」(新潮文庫)
→ 「タイムスリップ忠臣蔵」 (講談社文庫)
→ 謎手本忠臣蔵〈上・中・下〉 (新潮文庫)
→ 「サライ 2007年 12/20号〜忠臣蔵を旅する〜」
→ 忠臣蔵夜咄 (角川文庫)
→ 大石内蔵助キューピー



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→ 赤穂城跡・大石神社〜大石内蔵助良雄像その三〜
→ 台雲山花岳寺〜浅野長矩及び赤穂義士墓その三・大石内蔵助良雄像その二〜
→ 高野山金剛峯寺〜浅野長矩及び赤穂義士墓その二〜
→ 萬松山泉岳寺〜浅野長矩及び赤穂義士墓その一・大石内蔵助良雄像その一〜
→ 大石良雄他十六人忠烈之跡
→ 浅野内匠頭終焉之地
→ 皇居東御苑(松之廊下跡)
→ 赤穂浪士討ち入りの日



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あの時桜の下で出会った少年は一体誰だったのか―鍋島と龍造寺の因縁がひと組の夫婦を数奇な運命へと導く。“天地に仕える”と次期藩主に衒いもなく言う好漢・雨宮蔵人と咲弥は、一つの和歌をめぐり、命をかけて再会を期すのだが、幕府・朝廷が絡んだ大きな渦に巻き込まれていってしまう。その結末は…。

京の郊外に居を構え静かに暮らしていた雨宮蔵人と咲弥だったが、将軍綱吉の生母桂昌院の叙任のため、上京してきた吉良上野介と関わり、幕府と朝廷の暗闘に巻き込まれてしまう。そして二人は良き相棒である片腕の僧、清厳とともに江戸におもむき、赤穂・浅野家の吉良邸討ち入りを目の当たりにする事となるのだが。

大石内蔵助ら赤穂浪人四十七士の吉良邸討ち入りを目の当たりにした雨宮蔵人。それから四年経ち、妻の咲弥と娘の香也とともに鞍馬山で静かに暮らしていた蔵人のもとに、少年が訪れた。少年は冬木清四郎という吉良家の家人だった。清四郎の主人を思う心に打たれた蔵人たちは、吉良左兵衛に会うため配流先の諏訪へ向かう。次第に幕府の暗闘に巻き込まれ…。

葉室麟氏の遺作、
「影ぞ恋しき」が、
ようやく文庫化されまして、
先月読み始めたものの、
この作品はシリーズ三部作の、
完結編の上下巻。
七年前に読んだ一部・二部の、
いのちなりけり
花や散るらん
の、世界観が少し思い出せず、
改めて最初の「いのちなりけり」から、
続けざまに四冊を連続で読みました。
良かれ悪かれ葉室麟さんの作品は、
登場する男女の主人公が似ているんですが、
この作品の蔵人・咲弥夫妻は、
少しタイプが違います。
違うのは主人公の性格だけではなく、
物語の文体も他の作品とは異なり、
どこか映画の台本のような進行です。
死の寸前に書かれた三部作目の、
「影ぞ恋しき」下巻はその特徴が顕著です。
藤沢周平氏の再来と呼ばれていた葉室麟氏。
ご本人がそれをどのように感じていたのかは、
今は知るべくもありませんが、
この作品はどうもそれを払拭しようと、
主要人物の性格を設定したような気がします。
また、赤穂事件を独特の解釈で進める進行も、
他の作品とは一線を画しています。
この作品は今までの"葉室麟の世界"を、
自ら変革しようとして、
描かれたものではないでしょうか。
ワタシはいつも似ていた、
葉室麟の世界が嫌いではありませんが、
そんな変革後の作品ももっと読んでみたかった。
西郷隆盛伝も最後まで読みたかった。
今となってはもうその夢は叶いません。
・・・残念です。