「黒澤明 DVDコレクション」9『生きる』

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黒澤明 DVDコレクション」 
→ 1『用心棒』
→ 2『七人の侍』
→ 3『赤ひげ』
→ 4『椿三十郎』
→ 5『天国と地獄』
→ 6『羅生門』
→ 7『乱』
→ 8『隠し砦の三悪人』





黒澤明監督作品と「スター・ウォーズ」シリーズ 
→ その一その二
→ 「黒澤明という時代」(文藝春秋)
→ DVD「羅生門」その一
→ DVD「生きる」・「赤ひげ」
→ DVD「姿三四郎」・「續姿三四郎」
→ DVD「一番美しく」
→ 「黒澤明」関連の記事










黒澤明監督作品の、
代表的な看板俳優といえば、
三船敏郎が筆頭ではありますが、
私は三船も好きですが、
志村喬の方がもっと大好きです。
その志村喬の出演作品ですが、
勿論「七人の侍」も最高ですが、
一番格好悪くて格好いいのは、
なんと言ってもこの黒澤作品、
唯一の単独主演作、
「生きる」です。
この年代作品には珍しく、
三船敏郎は出演していません。
また全三十作の黒澤明作品の中でも、
そのヒューマニズムの頂点とされ、
現代でも世界中で評価される名作です。





市役所の課長、渡辺勘治は、
形式主義がはびこる役所で、
無気力な日々を送っていたが、
胃ガンで余命幾ばくもないことを悟る。
自分の人生の意味を見失い、
市役所を無断欠勤して、
酒やギャンブル、風俗に放蕩するが、
虚しさだけが残り、
家族からも呆れられてしまう。
ある日、玩具工場に転職を考えている、
若き女性部下、小田切と偶然に会う。
何度か食事をともにしたり、
一緒の時間を過ごした渡辺は、
彼女の自由奔放な生き方に惹かれる。
自分の余命を小田切に伝えると、
彼女は工場で自分が作った玩具を見せて、
渡辺にも何か作ってみることを勧める。
渡辺は「まだ出来ることがある」と、
次の日に市役所に復帰する。
そして場面は渡辺の通夜の席に変わる。
参列者の口から、
復帰後の渡辺の様子が語られる。
渡辺の行動を口々に絶賛する参列者たち。
死の直前、仕事を成し遂げた渡辺が、
雪がしんしんと降る夜に、
公園のブランコに揺られて、
「いのちみじかしこいせよおとめ」と、
「ゴンドラの唄」を歌うシーンは、
映画史上に残る名場面。



さて、志村喬は、
明治三十八年(1905)生れ、
そしてこの映画は、
昭和二十七年(1952)公開。
なんと撮影当時、
志村喬はまだ46〜47歳!!
今の私よりも歳下でした!
Σ( ̄Д ̄ )
撮影開始直前に、
虫垂炎の手術を受け、
見舞いに来た黒澤明は、
痩せ細った志村を見て、
「このまま太るな!」
と、命じたんだとか。
志村は食事制限をして、
見事に"やつれ"続け、
「私はガン患者なんだ」、
「残り半年の命なんだ」と、
徹底的に自分に言い聞かせながら、
カスレた裏声の発声法を習得。
ついには本当に神経性胃炎になり、
更に"やつれ"るだけでなく、
髪を薄く見せる為のカツラにかぶれ、
本当に薄くなってしまったとか。
まさに役者の鬼というのは、
志村喬のような人のことでしょう。


高校生の頃に、
この映画を観た私は、
この渡辺のような、
公務員になりたくて、
大学新卒時に、
身近な地方自治体を、
いくつか受験するも、
専門的な試験勉強も、
全くしていなかったので、
当然見事にすべて玉砕。
三十代の頃に、
今の会社を辞めたくて、
ダメ元で受験した、
某・巨大地方自治体の、
社会人主任採用試験で、
奇跡的に最終選考まで進んだことは、
以前このブログでも書きましたが、
結局は最後のプレゼンに失敗?*1して、
今の会社にそのままいる訳ですが、
ひょっとすると父の念願を、
長男が晴らしてくれるかもしれません。



→ 地方公共団体が扱う個人情報について
→ 「男の仕事、男の一生について」思う黒澤明監督作品の二作について




しかし息子の事よりも、
私自身はこの後、
今の仕事をしていて、
生きることの意味を、
仕事に見出すことはあるのだろうか。




不本意ながら、
当社・当業界の、
担当になってしまった、
二年後の世界的国家行事、
これは少し本気出してみようかなぁ...。



知らんけど。

*1:そのプレゼンの内容が後日無断で実施されます。