なぜか、二年前の訃報を聞いた時には、
まったく記事にしておりませんが
吉村昭さんは最も好きな歴史小説家の一人です。
五年半前、習志野に引っ越してくる前は、
荒川区のすぐ近くの足立区に住んでいたので、
荒川区の図書館によく通いました。
そこに充実していた「郷土の作家」コーナーで、
初めて本格的に吉村昭さんの小説にハマりました。
- 作者: 吉村昭
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/07/10
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最近、初めて文庫化された、
この編集余話ともいえる随筆(?)集を読んでみました。
正直、吉村昭氏の小説は時に恐ろしいほどまでに、
退屈なことがあります。
部分的には、
司馬遼太郎のドラマ性もなく、
池波正太郎の人間味もなく、
藤沢周平のような景色も見えません。
淡々とした史実の羅列です。
それは、その念密事実調査を重ねた、
この取材を裏切らない姿勢であり、
小説を書く方針そのものだったのですね。
「桜田門外ノ変」の日の雪がいつ止んだのか。
吉村昭氏は、
それを全身全霊を傾けて調査していたのです。
すげぇ〜な〜。
私もそんな仕事がしたいものです。
文芸評論家の磯田光一氏は・・・、
「彼ほど史実にこだわる作家は今後現れないだろう。」
・・・と、語っていたとか。まったくだねぇ〜
なんだか、もう一度、読み直してみたくなりました。
吉村昭氏のその姿勢を知って読めば、
隠れていた「ドラマ性」や「人間味」、
そして色鮮やかな「景色」がきっと見えてくることでしょう。
第三次吉村昭マイブームの到来か。(笑)