なぜか好きな作家としては、
あまりここに挙げていませんが、
実は私が、その文章力、文章の美しさに、
もっとも憧れている作家は城山三郎さんです。
あの堂々としいて、
美しい韻をふむかのような大河のような文の流れ。
描きたい人物を美化し過ぎるという意見もありますが、
それは小説家としては当然のこと。
司馬遼太郎もしかりです。
彼が描きたかった男達。
男たるもの、人間たるもの。と、
活きる勇気のようなものが湧いてまいります。
そして彼は、日本で一番かっこうのいい愛妻家でした。
- 作者: 城山三郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1986/11/27
- メディア: 文庫
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この小説を読んだのは初めてではありません。
ただ、吉村昭さんの「プリズンの満月」を読み、
巣鴨プリズン処刑場跡にある、
「永久平和を願って」の碑に参り、
もう一度読みたくなり、また買ってしまいました。
A級戦犯として絞首刑の判決を受けた、
唯一の文官である広田弘毅を描いた作品です。
第三十二代内閣総理大臣の広田弘毅。
後の近衛文麿内閣ではこの首相期間を挟み、
再び外務大臣となりますが、
その在任期間中に起きた南京事件で、
その残虐行為を止めなかったという、
不作為の責任を追求されました。
この小説「落日燃ゆ」では、
常に外交官として開戦に反対していた立場にありながら、
その軍部の暴走を止められなかったという、
自らの責任を追い、一切の自己弁護をせずに、
その軍人達とともに絞首台に上ったと描きます。
自分の責任を他人に押し付け合い、
ちょっとした手柄はハイエナのように奪い合うような、
そんなメメしく、セコい会社に勤めている私にとっては、
なんとも清清しい男の生きた方が心地よく映ります。
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