「鴨川ホルモー」(角川文庫)


毎度お馴染み無償の早出の金曜日。
長期連休明け二日目ですから、
いつもの「出張朝礼」行脚に、
時間を費やすことが、
かなり負担なほどに、
提出期限が間近な書類作成が山とあります。
なおかつ今日は、月に数回ローテーションである、
えぼさん支援の「配置作業」の当番日です。
平日は明日の「配置作業」のみですが、
金曜日は土・日・月と三日分。
これは大した負担ではありませんが、
他に色々重なって、さすがに外出はほとんど出来ず、
久々のネタなしで恒例の"読書ネタ"で失礼致します。





鹿男あをによし (幻冬舎文庫)
→ 「鹿男あをによし」(幻冬舎文庫) - 旧・元【東京】江戸御府内八十八ヶ所順打ち巡礼記【遍路】跡地



鹿男あをによし」が、
あんまり面白かったもので、
鹿島神宮にまでお参りしてしまった私です。
ずっと気にはなっいてたものの、
「映画化」・「舞台化」・「漫画化」だの、
あんまりみんなが騒いでいるもので、
すっかり臍を曲げて「読まず嫌い」をしていた、
こちらの万城目学氏のデビュー作も読んでみました。





鴨川ホルモー (角川文庫)

鴨川ホルモー (角川文庫)




京大青竜会」なる、
広域指定団体と間違えらそうな名のついた、
サークルに勧誘された京大生の主人公。
これが「安倍晴明」ならぬ"安部"です。
作品中でも触れられていますが、
「ホルモン」ではなくて、
「ホルモー」とも呼ばれる競技は、
なんと京都を舞台に四神のチームに分かれて、
鬼や式神を操るものだという噂・・・。




ここまで読めばピンとくる陰陽道
"高村"=小野篁、"早良京子"=早良親王、"楠木"=楠木正成
"紀野"=紀貫之、"菅原真"=菅原道真
"三好"、"松永"、"坂上田村麻呂"と、、、、。
登場人物のネーミングだけでとても楽しい。




次作もそうでしたが、
これを単なるファンタジーと呼んでよいものか。
そうこれもまた純愛ものであり、
またまたスポ根ものでもあるのです。
でもこれ、ホント、映画でも、舞台でもコミックでも、
本来の面白さが、そんな二次元で表現出来たのかな?。
いずれも観ていませんのでなんとも言えません。




さて小説に戻り、正直、この二作。
私が今まで読んだどの本とも、
まったく違うジャンルとすべき二作であり、
あまり細かい感想は、
未読の方に変な先入観を与えてしまうので、
なるべく書きたくはありませんが、
この物語の本質かもしれない一点を、
あえて書いてしまうと、
「操っていたと思っていたオニに、実は人間が操られていた。」
と、いうオチにも、似た根柢である設定です。
減らないレーズン、これ神棚・仏壇のお供え物、そのもの。



そう、古来から日本にあった八百万の神に、
輸入された仏教が交じり合い、
また祖先崇拝とも混濁して、
さらに流れ込んで来た道教は、
日本独特の陰陽道ともなって、
更にそれぞれが影響し合い
今のこの多くの日本人がもつ、
"無宗教"という名の宗教観になりました。




これはおそらく、
多くの反対意見を頂くことになるでしょうが、
そもそもこのブログ開始当時は、
著名人の墓探訪から始まって、
バチ当たりなご朱印収集のみの巡礼をして、
"無宗教"を自称していた私です。
サルマネのような写経から、
徐々に仏教の教えに触れて目覚め、
その後、元々習合されていた神社を訪れて考え、
今では自称"多宗教"を名乗るに至りました。
そんな私の感覚では、
今の神道・神社は、明治維新廃仏毀釈によって、
新たに誕生した訳でも無く、
やはり戦後GHQによる弾圧を受けて、
またそれはそれで変化しているものなんですけれど、
それでも、その一番おおらかな部分は、
神社に多く残っているのではないでしょうか。
そう、たとえ泥酔して裸で踊りながらでも神を"祭り得る"、
元々あまり"教義"や"戒律"のない神道です。





でも神道の神社に祀られる八百万の神々は、
まず大神にしてみれば、人間は虫けら同等の存在で、
そりゃ懐いている虫は、気まぐれで救うかもしれない。
でも気まぐれで、懐いているものも、潰してしまうかもしれない。
そんな"大自然"そのものです。
そして、恨みや憎しみから神となったもの、
また強い信念から神となったもの、
ただ人の願いや、恨みを吸収して神となったもの、
はたして人間をいつも救ってくれるでしょうか。
これもきまぐれであって、
いわば、"世間"そのものではないでしょうか。




仏教のお経の多くは、
どう生きるべきか。どう考えるべきか。
こういう世界にあるこういう仏を、
こう信じて、こう行動していれば、
こういう境地・世界に到達できる。
自らも仏になれる。という内容です。
先日、栴檀さんともコメント欄で話題になりましたが、
浄土真宗では念仏以外、自力の部分が否定されるので、
またちょっと少し方向が違いますが、
その他の仏教の多くは、多くの宗教がいう、
"これぞ宗教"という教義に近いものです。
しかし神道祝詞は、神を讃え、自らを貶めて、
ただひたすらに"祓い"を求めるもの。
これは確かに他のいう"宗教"とは少し異なります。




でもね。おいら・・・、
理屈なしに、人間よりも、
絶対的に偉大で、尊いものに、
理屈無し、見返り無しで、ただ拝して礼する。
そんな、部分大好きです。
いやいやもちろん、仏教も大好きですよ。(汗)





それがたとえ、運命とか、定めとか言う、
神様の操りであったとしても、、、ね。




神道らしく(?)酔っ払って書きましたが本音です。




あなたが、あの人を愛しているという感情って本物ですか。




それ、ひょっとすると、オニに操られた、
ただ思い込んでいる感情なのかもしれない。
この小説は、ラブストーリーでありながら、
そんな人間のちっぽけな弱さにも触れています。





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