「沈黙」(新潮文庫)


沈黙 (新潮文庫)

沈黙 (新潮文庫)




あのマーティン・スコセッシが、
遠藤周作の「沈黙」を、
映画化するという話は知っていましたが、
先日、映画館で予告編を観て、
どうしても原作を読み返したくなり、
自宅の本棚をひっくり返してみましたが、
残念ながら発見に至らずに、
大阪の書店で文庫を買いなおしました。




この作品を前に読んだのは、
おそらく20年以上前のこと。
その頃は今の「他宗教」「神仏習合」ではなく、
無神論者」を騙っておりまして、
宗教に対する知識などほとんどありませんでした。
今では仏教、神道から入り、
多少キリスト教に対する知識や、
その思想的な違いも理解しているつもりです。
そこでこの作品を読み直してみると、
前回とは全く異なる感想に至りました。
遠藤周作はキチジローのモデルは、
自分自身であると話していたようですが、
遠藤のようなキリスト教徒ならずとも、
多くの日本人の視点はキチジローにあると思います。
スコセッシがこの原作を選んだのは、
あの「最後の誘惑」に対する、
抗議への反論なのかもしれない。
ともかく映画も観てみよう。