「黒書院の六兵衛」【上・下】(文春文庫)




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浅田次郎マイブーム その → 
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江戸城明け渡し寸前の幕末、
なぜか官軍先遣隊長となってしまう、
尾張徳川家徒組頭の加倉井隼人。
さて江戸城に乗り込んでみれば、
宿直部屋に無言で居座る、
御書院番士の的矢六兵衛。
寡黙な六兵衛を調べてみれば、
どうやら最近元の六兵衛とは違う人間に、
すり替わったという噂。
調べる間にも六兵衛は居座りを続け、
座敷も次々と格上に移動。
ついには将軍家の御座所、黒書院へと。。。



江戸っ子の浅田次郎さん。、
今までも江戸っ子の矜持を、
テーマにした作品は多々ありますが、
やはり江戸っ子にとって、
一番触れられたくない部分は、
江戸城無血開城彰義隊の敗走かと。。。




この作品は実在の歴史上の人物を交え、
江戸幕府の幕引きを、
実際には存在しなかった加倉井隼人と、
謎の”新しい”的矢六兵衛に託します。
中盤何度か、的矢は〇〇ではないか?
と、いう予想が湧きますが、
それはその都度否定されてしまいます。



最後の武士、武士の矜持。
いや、読み終えて感じる、
なんだろうこの小気味良さは。。。
まさか江戸から西国に向かう、
新幹線の車中で涙してしまうとは。。。
浅田文学らしい清々しい作品です。