「鬼はもとより」(徳間文庫)

→ 「つまをめとらば」(文春文庫)





鬼はもとより (徳間文庫)

鬼はもとより (徳間文庫)






第154回直木賞受賞作品の、
「つまをめとらば」を読み、
たちまちその才能に惚れてしまった、
青山文平さんの時代小説。
読了後すぐに本屋で、
文庫化作品五冊を、
大人気ない大人買いをしましたが、
まず最初に手を付けたのは、
その一つ前に発表されて、
第152回直木賞候補、
第17回大藪春彦賞を受賞した、
この「鬼はもとより」です。




表向きは万年青売りの江戸浪人、
奥脇抄一郎は、
過去の経験を活かし
実は知る人ぞ知る藩札の万指南。
故郷の藩は宝暦の飢饉で、
抄一郎の反対を押し切り、
藩札の藩札の刷り増しをして、
抄一郎は版木を抱えて脱藩。
藩は一揆により改易となった。
そんな抄一郎に赤貧の藩より、
藩札発行指南の依頼が舞い込む。
その藩の執政は藩再生の為に、
鬼となる覚悟を固めていた。




縄田一男氏をして、
「平成の藤沢周平
と、言わしめた青山文平氏ですが、
この小説は経済小説でありながら、
お得意の強い女性、
女性に翻弄される、
無様な男性を交えつつ、
武士の気骨・矜持を、
真っ向から堂々と描く、
骨太な時代ロマン作品。
これは本当に面白い作品。




次に読む作品も楽しみデス!