公式サイト https://gaga.ne.jp/greenbook/
今年の第91回アカデミー賞で、
作品賞、助演男優賞、脚本賞と、
三部門でオスカーを獲得した、
「グリーンブック」を、
遅ればせながら観て来ました。
「グリーンブック」とは、
アメリカがまだ公に、
有色人種を差別していた、
ジム・クロウ法のあった時代に、
自動車で旅行をする、
アフリカ系人種を対象にした、
ガイドブックのこと。
1962年(昭和三十七年)に、
アフリカ系アメリカ人の、
クラシック&ジャズピアニストである、
ピアニスト、ドン・シャーリーが、
南部を回るコンサートツアーに、
後に俳優・作家となる、
イタリア系アメリカ人の、
トニー・ヴァレロンガを、
運転手兼ボディガードに雇った、
実話を元にして作られた、
伝記コメディ映画です。
アメリカ映画の「真実の物語」が、
いつもいかに脚色されているかは、
自分が事前に知っていた知識も、
鑑賞後に調べた事実も、
"嘘八百"なのは慣れっこですので、
その辺は差し引いて鑑賞しましょう。
ただこの作品の共同脚本・製作の一人は、
トニー・ヴァレロンガの息子である、
ニック・ヴァレロンガが務めています。
自分が生まれた、
わずか五年前(昭和三十九年)
1964年公民権法制定まで、
アメリカでは公に有色人種が、
差別されていたことは、
知識としては知っておりますが、
果たしてそれが、
北部や南部での差や、
イタリヤ系、ユダヤ系、
東洋系の差別の度合いなどは、
ワタシには知るべくもなく、
自分自身は西洋圏の施設で、
差別らしき扱いを、
一度だけ受けたことがありますが、
後で思い出し気付いたもので、
怒りすら沸かなかった...。
今アメリカのテレビドラマを観ると、
その人口比率に応じて、
様々な人種や宗教、
性的マイノリティの方々が、
多種多様に出演しますが、
実際の生活での構成や扱いとは、
かなり異なっていると聞きます。
この映画に関しても
同じく作品賞にノミネートされていた、
「ブラック・クランズマン」の、
スパイク・リー監督や、
「ブラックパンサー」の、
主演チャドウィック・ボーズマンも、
またドン・シャーリーの遺族も、
アフリカ系の方々の多くは、
不快、不満をあらわにしたとか。
要するに白人が制作した、
所謂「白人の救世主」的作品だ、
と、いうNO!であるかと思います。
→ 映画「ボヘミアン・ラプソディ」 - 新・元【東京】江戸御府内八十八ヶ所順打ち巡礼記【遍路】
たまたまココ最近観た二作が、
「ボヘミアン・ラプソディー」と、
やはり人種差別を絡めた、
実在のアーティストを扱った作品ですが、
この映画は人種差別の歴史と時代を、
その土台にはしているものの、
それがメインテーマではく、
そのノンフィクションでもありません。
その馬鹿げた差別を蔑みながら、
この時代に芽生えたとされる友情、
そして音楽を楽しむ、
コメディ映画なのです。
エンターテイメント作品として観れば、
脚本の起承転結はしっかりしていますし、
俳優の演技、演出は素晴らしく、
ラスト近くの酒場での演奏などは、
「ボヘミアン・ラプソディー」の、
ラストシーン同様に感動してもうた。
最近のオスカー作品賞の中では、
かなり好きな作品の一本にあがります。
映画百選を更新しますた。