「まむし三代記」(朝日時代小説文庫)

公式サイト https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=24145



→ 「秀吉の活」(幻冬舎時代小説文庫)
→ 「宇喜多の捨て嫁」(文春文庫)
→ 「宇喜多の楽土」
→ 「人魚ノ肉」(文春文庫)
→ 「木下昌輝」関連の記事



さて、今日は日曜日デスが、
長男夫婦が遊びに来て昼食を共にしたり、
いろいろと野暮用もあったもので、
ブログは貯金の読書ネタでスンマソン。
先日古くからのブログ読者の方に、
最近読書ネタが少ないとご指摘を頂きました。
確かに電車通勤でなくなってから、
読書の時間は激減しましたが、
それでも週に一、二冊は読んでおります。
しかし無理に貯金ネタを貯める必要もないもので、
ブログには本当に面白かった、
オススメの作品のみを載せています。
ご了承のほどよろしくお願い申し上げます。



法蓮房は国盗りの大望を秘めて美濃を目指し、土岐家内でのし上がる。
野望を受け継いだ2代はついに美濃国を奪取し、斎藤道三を名乗る。
親子2代にわたる国盗りの大いなる武器「国滅ぼし」とは?
その真実に行き着いた3代目の義龍の決断とは――
従来の戦国史を根底から覆す瞠目の長篇時代小説
弘治二年(一五五六)、四月二十日――
国さえもたやすく滅ぼしてしまうものが、大量に発見された。
美濃の地においてである。 奇しくも、この日、ひとりの男が討たれた。
まむしと恐れられた斎藤道三である。
国を滅しかねないものを集め、秘蔵した張本人だ。
より正確を期すなら、道三とその父親である。
道三の父親は美濃へわたり、異例の出世をとげる。
無論のこと、その影には国を滅ぼしかねない凶器の存在があった。
道三と法蓮房の親子二代の国盗りに、この凶器が暗躍する。
いつしか、道三と法蓮房らは凶器のことをこう呼ぶようになった。
国滅ぼし――と。


「宇喜多の捨て嫁」で、
その世界観にぶったまげて、
たちまちファンになった、
木下昌輝さんの文庫化最新作は、
斎藤道三とその父と、
子・義龍を描く三代記。
道三を扱った作品といえば、
司馬遼太郎の、
「国取り物語」が有名ですが、
あの作品の道三の部分は、
後半の信長や「新史太閤記」、
関ヶ原」につながる戦国三部作の、
プロローグ的役割でした。
「美濃の蝮」という綽名は、
当時の資料には一切登場しない、
昭和になってからの小説の創作のようで、
それだけ資料の少ない人物であって、
「油売り」から身を立てたと、
長く言われておりましたが、
永禄三年(1560)の「六角承禎書写」が、
発見された以降は人物像が転換し、
それまで道三の一代記とされていた、
「美濃の国取り」は、道三の父との、
二代によるものであることが、
近年明らかになりました。
この作品はその新説に則った、
初めての長編小説かもしれません。
しかし、あえてそのタイトルに、
従来の斎藤道三の綽名である、
「まむし」と付け、
三代記としたのでしょぅか。
そのあたりがこの小説のミソであり、
「国滅ぼし」としなんだったのか。
油を通したといわれている、
「永楽通宝」の存在が、
徐々に明らかになっていきます。
さすが「梟雄」を描く、
木下昌輝さんはピカイチです。