「オイアウエ漂流記」(新潮文庫)


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なかなか直木賞がとれない、
私の大好きな作家、
荻原浩さんの久しぶりの文庫新刊です。




オイアウエ漂流記 (新潮文庫)

オイアウエ漂流記 (新潮文庫)





「漂流記」なんて代物は、ガキの自分から、
ロビンソン・クルーソーだのジョン万次郎だの、
様々な小説や映画を腐るほどに読み観て参りました。
最近では「東京島」なんてのがあったね。
しかし、そこはやはりこれ「荻原浩節」ですよ。
笑いと涙に包まれる傑作でした。



四人のリゾート開発会社社員と、その得意先の若副社長。
新婚旅行の夫婦、戦友慰霊の老人とその孫。
そして謎の外国人。。。
この十人がトンガの先のラウラ諸島を目指し、
小型旅客機が墜落・不時着し、救命ボートが、
無人島に漂流するというストーリー。
女性が二名。老人と少年の他には男性が六人という構成ですから、
多くの三文小説では、性と暴力へと展開することか予想されます。



ところが、どっこい。
そんな表現はほとんど必要最低限。
荻原さんならではのお得意の「会社」に対する考え。
人はなぜ、なんの為に生きるのか。
他の生を奪い、人が生きる意味。
シー・シェパードへ対するチクリとした風刺。。。
とってもとても盛り沢山。
そしていつも通りに、子供が最高にかわいい。




そう人間は生きているというだけで、
それだけで凄いことなんだ。
僕たちは、文明という過保護な中に生かされているので、
生きる意味を考えたりとか、
前に進もう、成長しよう、敵に勝とうと、余計な雑念に苦しんでる。
でもその前に、文明を作り出してくれた先人や、
自分の生をつなぐ為に犠牲になった生に対して感謝して、
ただただ生きなくっちゃね。
・・・そんなことを考えさせられた小説でした。




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