「愛のひだりがわ」

愛のひだりがわ (新潮文庫)

愛のひだりがわ (新潮文庫)

結局この本を買って読みました。
十年前の筒井康隆氏の突然の断筆宣言。
あれって確か氏の著書「無人警察」の中の「癲癇」の記述を、
差別であるか、否かという論争から、
生放送でブチ切れた筒井氏の、
表現の自由」を断筆で訴えたものであった印象があります。
でもそこで私の筒井氏への思い入れも自然解消的にに終息しちゃった訳ですが、
あの時の筒井氏の反駁のメッセージを、
強く盛り込んでいるのはこの小説です。




警察さえあてにならない荒廃した近未来の日本。
犬によって不自由になった左手のハンデを持った少女が、
その犬の言葉を理解し、様々な困難を多くの乗り越えてなお、
成長するお話です。ただし成長とは多くを得るものだけではなく、
失うものの多さを案じしています。
・・・まったくですよね。
成長とは多くを失うことでもあるのです。
自分が成長期に親しんだ作家の最新作を、
この年になって読んでみると、
しみじみそう感じました。



年をとり 失くすは髪の毛 のみならず

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