宗派 天台宗
本尊 千手観音菩薩
386-1431 上田市別所温泉1656
公式サイト http://www.kitamuki-kannon.com/
前回の六年前の善光寺の御開帳参拝は、
坂東三十三ヶ所を巡礼途中のことでしたから、
正確に言えば今回が初の御礼参りになりました。
そしていよいよ念願のこちらに今日お参りすると、
ついに坂東霊場を番外も含めて、
すべてお参りする完全結願を迎えます。
思えば三年前の一人旅の計画も、
すべてはこちらにお参りする為の計画だったのです。
名前の通り北向きに建てられた観音堂は、
南向きの善光寺と向かい合い、
そのご利益は一体のものとされ、
二つをお参りしなければ、
「片詣り」とも呼ばれています。
この観音堂は、正徳三年(1713)に先代が焼失し、
享保六年(1721)に再建されました。
その後何度か修復を繰り返し、
昭和三十六年(1961)に、
善光寺と同じこの「撞木造り」になったとか。
奉納された額の中に、
土地柄でしょうか、
繭で作られた「北向山」の、
山号額があります。
観音堂の西側の崖上に、
文化六年(1809)再建の、
温泉薬師瑠璃殿があります。
温泉の効き目に併せて病気を取り除くという、
まさに現生利益の信仰の具体化です。
鐘楼や、不動明王が祀られた護摩堂は、
近年建てられたものと思われます。
観音堂の左側にこの愛染明王を祀る愛染堂。
そして右側に巨大なカツラの大木があり、
愛染桂と呼ばれ霊木とされています。
川口松太郎の「愛染かつら」は、
この木からヒントを得て創作されたそうですが、
はて?確か他でもそんな桂をみた気がする。
また、このカツラの木の下に、
別所三楽寺と呼ばれた長楽寺があったとされますが、
現在は現存しておりません。
元禄七年(1694)から現在まで、
こちらはその内の一つ、
常楽寺管理の「観音堂」となっておりますので、
それより以前に廃絶したと思われます。
昔は仁王門もあったのかもしれませんが、
今はなぜか阿吽の仁王尊が
額堂の中に仲良く並んでいます。
参道の川の近くに、
この円仁ゆかりの慈覚大師之湯があって、
今も熱い温泉が渾々と湧き出していました。
さて、ご朱印を頂戴しましたので、
坂東観音霊場三十三ヶ所と番外二ヶ所、
計三十五ヶ所のご朱印を一同に並べて、
坂東霊場完全結願の御礼と代えさせて頂きます。
ありがとうございました。