「二千七百の夏と冬」【上・下】(双葉文庫)



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二千七百の夏と冬(上) (双葉文庫)

二千七百の夏と冬(上) (双葉文庫)

二千七百の夏と冬(下) (双葉文庫)

二千七百の夏と冬(下) (双葉文庫)





最近どうにも面白い本に、
なかなか出会えずにおりました。
久しぶりにこのブログに、
感想を述べたいと思ったのは、
去年ようやくやっと直木賞を受賞した、
大好きな荻原浩さんが、
山田風太郎賞を受賞した長編が、
ようやく文庫化されたこちらです。
どうやら縄文人弥生人を扱った、
歴史小説?のようですが、
クロマニヨン人をキーワードにした作品は、
「四度目の氷河期」 で、
一度扱っている萩原氏。
今回も似たようなテーマかと思ったら、
あっさりと裏切られて、
またまた驚かされました。




縄文人男性と弥生人女性が、
しっかりと手を重ねて、
互いに向かい合った姿の二体の人骨が、
ダム工事建設現場で発見されます。
男性の手には稲を持っていた形跡があり、
女性は妊娠をしていた可能性があるとか。
現代、それを取材する女性新聞記者と、
古代、紀元前七世紀の縄文人の、
十五歳の少年主人公のエピソードが、
二千七百年の時を行き交い進行します。
要するに読み始めてすぐに、
発見された縄文人の人骨が、
この少年であることが分かりますが、
彼がどのような過程を経て成長し、
弥生人の女性と出会い恋をして、
その死に至るのか...。




読み始めてしばらくは、
縄文語?、弥生語?に戸惑い、
なかなかするすると読めませんが、
一定の法則に慣れると、
ずっぽりと古代ワールドにハマれます。
オマケであるはずの、
現代のエピソードも、
世界の紛争や、大震災の復興利権、
在日外国人の国籍など、
かなりのタブーにも踏み込む内容。




ご存知の通り、
ワタシは大の歴史好きで、
中世の神社仏閣や城跡、
史跡を巡るだけでなく、
貝塚や古墳、土器や埴輪、
土偶を見ることも好きですが、
統治組織が存在する前の、
古墳時代以前の人々が、
それぞれどのような、
精神的内面を抱えていただろう?
と、いう想像は、
今まで希薄であったことに、
気付かされました。
家のすぐ近くにも貝塚があり、
ここにも集落があって、
多数の人間が住んでいたことは、
理解していたつもりですが、
彼らも現代の我々と、
ほぼ変わらない知能を持ち、
笑って、泣いて、悩んで、嘆き、
現代よりも儚い人生を送っていたんですね。
改めて貝塚を見直したくなりました。





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