「最悪の将軍」(集英社文庫)





さて最近なぜか、
本の紹介ネタが少なくなっておりますが、
一時期読書のペースは落ちていたものの、
今では以前と同様に、週ニ三冊、
月十数冊の本を読んでいます。
なぜかブログには書いておりませんが、
近頃ハマっているのは朝井まかてさん。
歌人・中島歌子の生涯を描き、
直木賞を受賞した「恋歌」(れんか)等、
女性作家ならではの優しく、
繊細な視点で描く時代小説が秀逸なんです。
そんなまかてさんの最新文庫化が、
徳川綱吉を描いたこの「最悪の将軍」。
綱吉と言えばワタシが小学生の頃の教科書でも、
生類憐みの令で有名な「バカ殿」の代表格。
近年、功績が見直されつつありますが、
彼の評価を落としたのは、
「犬公方」だけではなく、
忠臣蔵」こと「赤穂事件」に関わり、
四十七士に切腹を命じたこと。



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→ 「決算!忠臣蔵」(新潮文庫)
→ 「七つの忠臣蔵」(新潮文庫)
→ 吉良邸〜墨田区本所松坂町公園〜
→ 赤穂城跡・大石神社〜大石内蔵助良雄像その三〜
→ 台雲山花岳寺〜浅野長矩及び赤穂義士墓その三・大石内蔵助良雄像その二〜
→ 高野山金剛峯寺〜浅野長矩及び赤穂義士墓その二〜
→ 「いのちなりけり」「花や散るらん」(文春文庫)
→ 「タイムスリップ忠臣蔵」 (講談社文庫)
→ 謎手本忠臣蔵〈上・中・下〉 (新潮文庫)
→ 大石内蔵助キューピー
→ 「サライ 2007年 12/20号〜忠臣蔵を旅する〜」
→ 萬松山泉岳寺〜浅野長矩及び赤穂義士墓その一・大石内蔵助良雄像その一〜
→ 大石良雄他十六人忠烈之跡
→ 忠臣蔵夜咄 (角川文庫)
→ 浅野内匠頭終焉之地
→ 皇居東御苑(松之廊下跡)
→ 赤穂浪士討ち入りの日



しかし、この小説を読むと、
彼が将軍の使命に燃えていからこそ、
結果的に歴史に残る「バカ殿」と、
なっていってしまう過程が、
とても納得できる過程で描かれています。
幕末、何代も続いた大名家の、
名君と呼ばれた藩主は、
家臣から何を聞かれても、
「そうせい、そうせい」
と、答えていたとか。
この小説の綱吉は、
なんだかやる気にみなぎって、
結果的に会社を潰してしまうような、
経営者を見ているようで哀しくなりました。