「胡蝶の夢」【一〜四】(新潮社文庫)

さて、雨の日曜日。。。
チャリにもバイクにも乗れないので、
自宅でキツメの筋トレをして、
ランチは家にあるもので、
チャチャっと簡単に済ませました。
てな訳で恒例の貯金読書ネタです。














高田郁著「あい ─永遠に在り」を読んでから、
関寛斎・東金のゆかりの地を巡ったり、
寛斎の生誕190年を記念して刊行された、
「評伝 関寛斎 1830-1912」を読んだりと、
関寛斎プチマイブームが到来ちう。
しかし実はそれと同時に、
蔵書の司馬遼太郎著「胡蝶の夢
全四巻文庫を読み直しました。






何度か書いておりますが、
私が歴史好きになったきっかけは、
中学生の頃に読んだ、
司馬遼太郎竜馬がゆく」です。
その後も司馬遼太郎の小説にハマり、
刊行されている作品は、
ほぼ全作を何度も読み直しましたし、
今でも代表的な作品の文庫は、
全て蔵書に揃えてあります。
もちろん年を重ねて、
他の歴史書歴史小説を読み、
司馬遼太郎の作品は、
司馬史観と呼ばれる、
独自の歴史観があり、
またその伝記の多くは、
彼の創作が加わっていることは、
今では理解しているつもりです。








胡蝶の夢」を最初に読んだのは、
おそらく高校生の頃だったと記憶しています。
若き日の感想では、
島倉伊之助=司馬凌海や、
関寛斎の印象はあまり残らず、
松本良順ばかりが心に残り、
彼の足跡が残っている佐倉順天堂や、
彼が永倉新八と建てた、
板橋の近藤勇土方歳三供養塔、
それから大磯の妙大寺にある、
彼の墓などを巡りました。






しかし五十歳も過ぎてから、
改めて今回読み直してみると、
全く感想は変わりました。
今回、関寛斎の記述部分が読みたくて、
最初はパラパラと捲ったんですが、
結局は最初から最後まで、
夢中で読み直してしまったのです。
まずこの小説の一番の主人公は、
松本良順ではなく、
島倉伊之助=司馬凌海だったんですね。
司馬はあとがきの「伊之助の町で」で、
主人公は誰でもよく、
「江戸身分制社会」を描いたとありますが、
あとがきのタイトルからも、
またその題名の荘子胡蝶の夢」からも、
その伊之助への思い入れが伝わります。



→ 胡蝶の夢 - Wikipedia



身分は高いものの、
武士とは扱われず僧形をする、
将軍御典医奥医師の家に婿入りした、
松本良順の目を通し描かれる、
農民から旗本格となった新選組近藤勇と、
存在が無きものとされていた浅草弾左衛門
農民から大名の典医・藩医となり、
最後はまた農に戻り自ら命を絶つ寛斎。
そして時代に翻弄されながらも、
佐渡からひらひらと蝶のように舞い、
士装と町人姿を行き来する伊之助。




以前「胡蝶の夢」では、
関寛斎は主人公の一人ではない」
と、書きましたが、
それは間違いでした。
彼は重要な主人公の一人です。
晩年の関寛斎は、
北海道のアイヌの人権について、
その差別撤廃に関わったそうですが、
残念ながらこの小説では、
ほぼそれには触れていません。







是非レブル1100で、
北海道に渡り、
改めて寛斎の足跡を、
訪ねたいと考えています。