特別展「最澄と天台の国宝〜天台宗開宗一二〇〇年記念〜」東京国立博物館 その三

看板

2006年3月28日(火)〜5月7日(日)
110-8712 台東区上野公園13-9
公式サイト http://www.tnm.jp/ 
展覧会公式サイトhttp://event.yomiuri.co.jp/2006/tendai/



東京国立博物館 → その一その二



楽しみにしていたこちらに行って来ました。
栴檀さん、招待券をありがとうございます。



日本の仏教って、
天台宗比叡山延暦寺を避けては何も語れません。
鎌倉仏教の各宗派の宗祖はほとんど比叡山の出身ですから。*1
密教法華経、浄土信仰、山王神道・・・。
日本天台宗は懐がデカイんです。




その比叡山や、全国天台寺院の国宝・重文が、
過去にないスケールでの大集合とあっては、
多少なりとも「仏教が好き♪」な人ならば絶対に行くべきです。




さてまずはこの書に注目。
伝教大師最澄といえば「一隅を照らす」が有名ですが、
その大師直筆の「天台法華宗年分縁起」(山家学生式)があります。*2

国宝何物     国宝とは何物ぞ。 
宝道心也     宝とは道心なり。
有道心人     道心あるの人を、
名為国宝     名づけて国宝となす。
故古人言     故に古人言く、
径寸十枚     径寸十枚、
非是国宝     これ国宝に非ず。
照千一隅     一隅を照らす。
此則国宝     これ即ち国宝なり。

この書自体が国宝になっちゃっているなんて皮肉ですね。
しかし最澄さんの字は端正な楷書で美しいです。
実直そうな人柄が字ににじみ出ています。




かなりたくさんの仏像が出展されています。
パンフレットやチラシで看板仏(?)を勤めているのは、
延暦寺聖観音菩薩立像。
奇跡的に信長の焼き討ちを逃れたようです。
お顔もちょっと中性的なんですけど、
お身体も腰をクイッと曲げていらして、
なんだかちょいとセクシー・・・。
後ろから回り込んで拝した*3んですが、
後ろ姿からも女性的な強さがありました。
すぐ隣の寛永寺秘仏ご本尊が寺外で初めて公開されてるというのも、
大変興味深いものですねぇ。
その薬師如来立像は最澄自刻との伝説もあるようですが、
その特徴から10世紀のものと推定されているとのことです。
でも私の個人的な感想では、そのお顔はむしろ、
飛鳥時代以前のものに近いように見受けられました。




絵画で目をひいたのは、やはり六道絵でしょうか。
地獄絵図の凄まじい表現力。・・・迫力があります。
これ、みちゃったら、浄土信仰へ傾く人の気持ちも、
ちょっとわかりますねぇ。




特別展って、
行くといつも「物足りない」印象が残るんですが、
今回は「お腹一杯」の大満足。
前回批判した、前期・後期の入れ替え制なんですが、
後半も行ってみたくなりましたよ。こりゃ。
前半は明日が最終日ですよー。
騙されたと思って行って見てください。




チラシ 
会場にはこんなチラシが・・・。

特別展 仏像
一木にこめられた祈り
2006年10月3日(火)〜12月3日(日) 東京国立博物館 平成館

・・・う〜ん、この博物館から目が離せません。
パスポート買っちゃうかなぁ。
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*1:浄土宗・法然臨済宗栄西曹洞宗道元浄土真宗親鸞日蓮宗日蓮

*2:4月16日までの展示です。

*3:博物館での拝仏の醍醐味です。